※ ド初っ端から『孤独のグルメ』の主人公、井之頭五郎になりきる独身アラサー男性が出てきますのでご注意ください。
つっかれたーーー。
いつもは昼から仕事なのに、今日は朝から職場に籠って事務仕事。
インフルエンザで5日間も休んじまったもんだから、仕事が溜まって仕方ない。
5日間休んだら、きっちり5日分仕事が溜まるんだもんなぁ。たまったもんじゃないよ。なんちゃって。
・・・・・・
・・・
カタカタカタ、ターーーーン。
小気味よくエンターキーを叩いて時計を確認。もうこんな時間か。キリもいいしここらへんで休憩しよう。
おや。
集中していたから気づかなかったが、
腹が、減ったーーーーー。
こうしちゃいられない。メシを食いに行こう。
なにを食おうか。
ラーメンは男のひとりメシにもってこいだ。ハンバーグなんてのもいいな。近所には中華料理屋も多い。映えなんて程遠いあの空間は、日本の戦士たちの憩いの場だ。
ーーー餃子。
そうだ餃子だ。
俺は、餃子を腹いっぱい食べたいんだ。
餃子と言ったら、あの店に決まってるよなーーー。
・・・・・・
・・・
「いらっしゃいませー!空いてるお席にどうぞ~!」
活気のある声に出迎えられて入店。
空いているようだし、テーブル席を使わせてもらおう。
俺が食いたいものは決まっている。まずは餃子。それも2人前。
ただこの後仕事を控えているのでにんにくは抜き、だ。
あとはどうしようか。ライスとスープを頼んで餃子定食にしてもいいし、ラーメンを注文して定番のラーメン餃子にしてもいい。
うーむ、どうしようか・・・・・・おっ。
極王天津飯。
極王。極めた王。
なんとも強そうな響き。漫画やアニメだったらラスボス級だ。
いいじゃないか。お前のネーミングに負けたよ。今日の餃子のお供はお前だ。
「すみません」
「はーい」
「このにんにくゼロ生姜餃子を2人前と、極王天津飯をください」
「はい、にんにくゼロ生姜餃子2人前と極王天津飯ですね。少々お待ちください」
よしよし。
組み立ては上々。あとは待つのみだ。
隣のテーブルに座った3人組のマダムたち。
五目そばと餃子のお供に生ビール。いいなぁ~~~。
俺も餃子をビールで流し込みたい。
・・・・・・ま、車で来てるから無理だけど。
・・・・・・
・・・
「お待たせしました!生姜餃子2人前です」
おっ、きたきた。
ひとりで2人前を食べる贅沢。大人になって良かったなぁ。
さぁさぁ、待ちに待った餃子だ。頬張り尽くそう。
まずはなにもつけずに一口。
んむっ。ん~~~美味い!
当社比2倍の生姜が入っているということもあって、にんにく抜きとは思えないパンチだ。
打つべし打つべし。
豚肉とキャベツがたっぷりで皮が破れた瞬間旨みのスープがあふれ出る。
そのままでも美味い餃子。いいじゃないか。
そのままでも美味い餃子に調味料を付けたらもっと美味いに決まっている。
俺のマイブームはラー油とお酢。
辛みと酸味を併せて、いただきます。
美味いッッッ!!!
子どもの頃は親父がお酢だけで餃子を食べる理由が分からなかったが今なら分かる。
お酢の酸味によって、餡の塩味が引き立つのだ。
ふっ。この美味さが分かるようになったなんて、俺も大人になったもんだ。
・・・・・・
・・・
「お待たせしました。極王天津飯です」
待ってました。
はぁ~~~。
見目麗しい。コイツは確かにラスボス級だ。
見た目は満点。
さて、味はどうか・・・・・・
ほぉ~~~。これは予想外。
想像以上に繊細な味だ。
正直、大衆中華は油ギトギトの濃い味、というイメージだった。餃子の王将もそれに違わず濃い味が多い印象だったのだが・・・・・・まだまだ俺は餃子の王将をとらえ切れてなかったようだ。
御見それしました。
塩味は控えめで旨みで食わせる天津飯。こんなのスルスル食えちまう。
ずるい。ずるいよ王将さん。
極王天津飯の目玉である海老もいただこう。
んむっ。
・・・・・・うん、ちゃんと海老だ。人はこういう具の中にあるちょっとの海老をありがたるんだ。
少ないからこそのありがたさ。希少価値だ。
・・・・・・
・・・
天津飯が思ったよりさっぱり系だったから、餃子をガッツリにするか。
お酢ラー油も良かったが、タレに変更。
タレをかけるとき、俺にはこだわりがある。
餃子の皮に穴を開けて、そこにタレを流し込んで食べるんだ。そうすると、餡の肉汁とタレが混ざり合って、潤沢なスープが口の中で広がる最高の餃子の出来上がりだ。
あむっ。
・・・・・・うん、やっぱり美味い。この食べ方がナンバーワンだ。
そのままでも美味い、お酢で味を引き出しても美味い。もちろんタレをかけても美味い。
もしかして、餃子って最強の食べ物かもしれない。
・・・・・・
・・・
気づいたら最後の1個。
2人前あったはずなのに、ペロッと平らげちまった。
最後はお酢+ラー油+タレの全部盛りセットだ。名残惜しい気もするが、また会おう。餃子よ。
・・・・・・
・・・
米の一粒、衣の一片、全て残さず平らげて、御馳走さまでした。