※ ド初っ端から、『孤独のグルメ』の主人公、井之頭五郎になり切る独身アラサー男性が出てきますので、ご注意ください。
今日は休みだ。
現場仕事で身体が疲れているから、のんびりしたいところだ。午前は家のことをやって、午後からサウナにでも行ってくるかな。
ピロン。なんだ、スマホに通知が。
げっ。以前勤めていた三重の現場の先輩からテニスのお誘いだ。どうしよっかな~、今日は休みたい気分なんだが・・・・・・
ま、誘っていただいている内が花。せっかくのお誘いだし行ってきますか。
場所は・・・・・・そりゃ三重県だよなぁ~~~。
・・・・・・
・・・
疲れた・・・・・
いい大人がムキになって試合なんてするもんだから、普段使わない筋肉を使うな。明日は確実に筋肉痛だ。いてて。
時刻は17時。このまま帰って家でひとりメシでもいいんだが・・・・・・
せっかく三重県は四日市まで来たんだ。名物を、食っていこうそうしよう。四日市と言えば・・・・・・トンテキだよなぁ~。
・・・・・・
・・・
昔。と言っても2年ほど前のことだが俺は四日市に住んでいた。けっこう長い間住んでたのに食べたことなかったんだよなぁ、トンテキ。
せっかくなら美味いトンテキを食いたい。ちょいと調べて・・・おっ、この店のトンテキが美味そうだ、行ってみよう。
今日はまつもとの来来憲に決まりだな。
「いらっしゃいませ~!お一人様ですか?テーブル席にどうぞ~!」
活気のある声に案内され席に着く。食いたいものは決まっているが、一応メニューを見ておこう。どれどれ・・・・・・
これですよ、これ。大とんてき。俺はこれを食いに、いや食らいに来たんだ。今の俺は肉を狙うハンター。スタミナをつけるためにきも焼きも注文しちまおう。
「すみません」
「はーい、お決まりですか?」
「この大トンテキ定食をお願いします」
「はい。これ一枚の大きなお肉が繋がってるんですけどカットしますか?」
「はい。お願いします。あと・・・・・・きも焼きをお願いします」
「ごめんなさ~い。きも焼きは午前で完売しちゃったんです~」
えっ、そうなの・・・・・・それは想定外だ。
「あっ、じゃあ大トンテキ定食だけで」
「すみませ~ん。ご飯豚汁漬物キャベツはおかわり自由ですので、いっぱい食べてくださいね!」
出鼻をくじかれたな。ガーン、だ。
これは神様がトンテキに集中しろと言ってくれているのかも知れない。かしこまりました。
料理が届くのを待っている間、店内を眺める。
こういう「ザ・地元の料理屋」みたいなお店、見なくなったよなぁ〜。オシャレなカフェや家族で入りやすいファミレスもいいんだが、俺にはこういう店がお似合いですよ。
黄色いメニュー板に赤いぐるぐる、雑多に貼られた手書きのメニューや注意書き。味があるなぁ~~~。
「おまたせしました~!大トンテキ定食です」
おっ、待ってました。
いい香りだぁ~。コイツを前にしちゃなりふり構っていられない。いただきます。
まずはお口の潤いから。豚汁がおかわりし放題って嬉しいよなぁ。
お肉の切れ端にねぎともやし。定食に付いてる味噌汁の、このちっちゃな具がありがたいんだよなぁ。外で汗をかいて、冬の寒空で冷えた体をそっと温めてくれる。
さぁ、いよいよメインの登場。いつもならベジファーストの俺だが、身体が肉を求めてる。今日の俺はミートファーストだ。
美味~~~い!
ほんのり甘みのあるソースと分厚い肉がマッチしている。これはご飯をかきこむしかない。
柔らかいんだがしっかりと歯ごたえがある。俺は今、肉を食っているんだ。こんな分厚い肉、いつぶりに食べただろう。歯が、胃が、身体が。全身が喜んでいる。
栄養バランスもちゃんと考えてますよ、っと。トンテキのソースに絡めて千切りキャベツもいただきます。
美味い。ソースが美味い。このキャベツでメシが食える。野菜がパクパク食えちまう最高のドレッシングは、トンテキのタレなのかも知れない。
この後誰に会うわけでもなし。ニンニクちゃんもいただきます。
がつーーーん。
いいパンチを食らわせてくれるな。
おかげさまで、完全に俺にギアが入っちまった。もう、誰も止められないぞ。
肉を食って、白米をかき込む。豚汁で口を潤す。ご飯と豚汁をおかわり。肉、白米、キャベツ、白米、豚汁。肉、キャベツ、白米、肉、ニンニク。
・・・・・・ふぅ~。お冷を飲んで一息。トンテキ、大変美味でした。
次来るときは、定番の中華料理も食べてみようかな。
ごちそうさまでした。